
カジノ法案(IR整備法)とは
カジノ法案(IR整備法)とは、海外では一般的なカジノを含む統合型リゾートを日本でも合法的に導入しようとする法案のことです。
IRは「Integrated Resort」の略で、日本語に訳すと「統合型リゾート」という意味になります。
カジノ法案(IR整備法)はカジノを含む統合型リゾート(特定複合施設)を設置するための法律なのです。
カジノ法案の内容
カジノ法案の基本情報は以下の通りです。
設置個所 | 3か所 |
入場料金 | 6000円/1日 |
入場回数 | 3回/1週間 10回/2週間 |
税率 | 30% |
本人確認 | マイナンバーカード |
改訂 | IR認定から7年後 |
国会で成立した法律の本文情報の一部を以下にご紹介します。
定義
この法律において「特定複合観光施設」とは、カジノ施設(別に法律で定めるところにより第十一条のカジノ管理委員会の許可を受けた民間事業者により特定複合観光施設区域において設置され、及び運営されるものに限る。以下同じ。)及び会議場施設、レクリエーション施設、展示施設、宿泊施設その他の観光の振興に寄与すると認められる施設が一体となっている施設であって、民間事業者が設置及び運営をするものをいう。
この法律において「特定複合観光施設区域」とは、特定複合観光施設を設置することができる区域として、別に法律で定めるところにより地方公共団体の申請に基づき国の認定を受けた区域をいう。
国の責務
国は、前条の基本理念にのっとり、特定複合観光施設区域の整備を推進する責務を有する。
法制上の措置
政府は、次章の規定に基づき、特定複合観光施設区域の整備の推進を行うものとし、このために必要な措置を講ずるものとする。
この場合において、必要となる法制上の措置については、この法律の施行後一年以内を目途として講じなければならない。
国際競争力の高い魅力ある観光地の形成
政府は、特定複合観光施設区域が地域の特性を生かしつつ真に国際競争力の高い魅力ある観光地の形成の中核としての機能を備えたものとなるよう、必要な措置を講ずるものとする。
観光産業等の国際競争力の強化及び地域経済の振興
政府は、特定複合観光施設区域の整備により我が国の観光産業等の国際競争力の強化及び就業機会の増大その他の地域における経済の活性化が図られるよう、民間の資金、経営能力及び技術的能力の活用その他の必要な措置を講ずるものとする。
地方公共団体の構想の尊重
政府は、地方公共団体による特定複合観光施設区域の整備(特定複合観光施設の設置及び運営をする事業者の選定を含む。)に係る構想のうち優れたものを、特定複合観光施設区域の整備の推進に反映するため必要な措置を講ずるものとする。
カジノ施設関係者に対する規制
カジノ施設の設置及び運営をしようとする者(当該カジノ施設の設置及び運営に係る事業に従事しようとする者を含む。)、カジノ関連機器の製造、輸入又は販売をしようとする者並びにカジノ施設において入場者に対する役務の提供を行おうとする者(以下「カジノ施設関係者」という。)は、別に法律で定めるところにより、第十一条のカジノ管理委員会の行う規制に従わなければならない。
カジノ施設の設置及び運営に関する規制
政府は、カジノ施設の設置及び運営に関し、カジノ施設における不正行為の防止並びにカジノ施設の設置及び運営に伴う有害な影響の排除を適切に行う観点から、次に掲げる事項について必要な措置を講ずるものとする。
一 カジノ施設において行われるゲームの公正性の確保のために必要な基準に関する事項
二 カジノ施設において用いられるチップその他の金銭の代替物の適正な利用に関する事項
三 カジノ施設関係者及びカジノ施設の入場者から暴力団員その他カジノ施設に対する関与が不適当な者を排除するために必要な規制に関する事項
四 犯罪の発生の予防及び通報のためのカジノ施設の設置及び運営をする者による監視及び防犯に係る設備、組織その他の体制の整備に関する事項
五 風俗環境の保持等のために必要な規制に関する事項
六 広告及び宣伝の規制に関する事項
七 青少年の保護のために必要な知識の普及その他の青少年の健全育成のために必要な措置に関する事項
八 カジノ施設の入場者がカジノ施設を利用したことに伴いギャンブル依存症等の悪影響を受けることを防止するために必要な措置に関する事項
政府は、前項に定めるもののほか、外国人旅客以外の者に係るカジノ施設の利用による悪影響を防止する観点から、カジノ施設に入場することができる者の範囲の設定その他のカジノ施設への入場に関し必要な措置を講ずるものとする。
カジノ法案の目的
カジノ法案の目的を政府は以下のように述べています。
(目的)第一条 この法律は、特定複合観光施設区域の整備の推進が、観光及び地域経済の振興に寄与するとともに、財政の改善に資するものであることに鑑み、特定複合観光施設区域の整備の推進に関する基本理念及び基本方針その他の基本となる事項を定めるとともに、特定複合観光施設区域整備推進本部を設置することにより、これを総合的かつ集中的に行うことを目的とする。
(基本理念) 第三条 特定複合観光施設区域の整備の推進は、地域の創意工夫及び民間の活力を生かした国際競争力の高い魅力ある滞在型観光を実現し、地域経済の振興に寄与するとともに、適切な国の監視及び管理の下で運営される健全なカジノ施設の収益が社会に還元されることを基本として行われるものとする。
要約すると、「観光客の呼び込みで財政難を克服」と「管理と運営の適正化」ということになります。
カジノ法案のメリット
日本がIRの開業に乗り出した大きな目的の一つが、外国人観光客を集客し、日本経済を活性化させることだと前述しました。
日本は、いまだ停滞している経済状態を打破するため、観光大国としての地位を確立することを目指しています。
中国人観光客が日本製品を根こそぎ買っていく姿を「爆買い」と称して話題になったのはまだ記憶に新しいですが、その経済効果は非常に高いものでした。
もっと外国人観光客に日本に来てもらうにはどうすればいいか?という問いの答えの一つとして、政府はカジノ法案を提案しました。
また、大型リゾートが誕生することによってそれに伴う雇用が大量に生まれたり、IRまでの交通手段などインフラが整うことも大きなメリットです。
カジノ法案のデメリット
カジノ法案への反対意見として最も大きなものは、ズバリ「ギャンブル依存症の増加」への懸念です。
政府もギャンブル依存症対策の重要性は認識しており、「IR実施法」において、具体的な入場回数の制限や、入場料の徴収などを定めています。
また、「ギャンブル等依存症対策基本法」が成立したことにより、今までほとんど対策されていなかった競馬やパチンコといった既存のギャンブルも含めた依存症対策が具体的に策定されていく予定です。
ギャンブル依存の他には、「治安悪化の懸念」「マネーロンダリング(資金洗浄)の場となる危険性」といった問題もあります。こうした問題に対してどのような対策をとっていくのか、政府の動きに注目が集まっています。